今の時期は花粉症に悩まれている方も多いのではないでしょうか?
皆様からいただくよくあるご質問をまとめました。
ご来院の際の参考になさってください。
Q.急に花粉症になるということはありますか?
はい、あります。
アレルギー反応は抗原(花粉)とある程度の抗体量(抗体:抗原を異物と見做して排除しようと血中でできるもの)が必要です。
同じ抗原に晒されるにつれ抗体の量が増加していき、そしてある日突然、症状が現れ始めます。俗に言われる花粉症デビューですね。
花粉飛散量の多い年にデビューされる方が多いようです。
Q.花粉で肌が荒れていますが診てもらえますか?
もちろん、診ます。
この時期の肌荒れは、花粉によるアレルギー性皮膚炎か、マスクによる皮膚炎なのかを考えなければなりません。
今は特にコロナの問題もあり、マスクによる皮膚炎の患者様が増えています。
症状は肌の乾燥や赤み、かゆみが主な症状。
上まぶた、頬骨、あご、耳、首など露出が多い部分に発症しやすいです。
予防するには、花粉や埃を早めに洗い流すこと。
肌を保湿し肌の機能を正常に保ち、さらに睡眠不足やストレスは肌の機能を落としますので十分な睡眠を取ることが大事です。
治療には保湿するのが基本ですが、炎症症状が強い時にはステロイド剤など抗炎症薬を塗布する必要も出てきます。
また、皮膚症状以外にも倦怠感や微熱など花粉が原因である全身症状を伴うならば、内服薬も必要となることがあります。
肌の修復を促すためにビタミンCやビタミンH(ビオチン)を服用することも良いでしょう。
当院でも処方可能ですので気軽に来院ください。
Q.鼻水が多いのですが風邪ですか?
花粉症は花粉を原因として身体に現れる症状で、風邪の多くはウイルスによる病気ですので原因が全く異なりますが似た症状が見られます。
花粉症では鼻水やくしゃみ、眼が痒いといった症状があり、眼の症状以外は普通の風邪の初期症状と似ているため、間違われやすいと思います。
よく知られているのは花粉症の場合、透明でサラッとした鼻水で判断されます。しかし、風邪のひき始めの鼻水も透明でサラサラしていることもあるため、花粉症か風邪か迷ったら薬を飲む前に先ずは体温を測りましょう。
花粉症で微熱程度のことはしばしば起こりえますが、高い発熱が見られることはありません。
Q.市販の風邪薬を飲んだら鼻水が止まりましたが服用しても大丈夫ですか?
風邪かなと思って総合かぜ薬を飲んだら鼻水が止まったから風邪だと考えるのは早合点かもしれません。
市販されている風邪薬には鼻汁症状を治めるための抗ヒスタミン薬が入っているので、花粉症の鼻汁症状は治ります
しかし、解熱鎮痛成分を長期服用すると肝機能障害を起こす可能性があるため、鼻水が止まるからと風邪薬を長期連用してはいけません。
また、抗生物質が効くかも?と服用される方がたまにいらっしゃいますが、風邪も花粉症も細菌感染症ではありませんので抗生物質を飲んでも全く役に立たないどころか有害と考えて下さい。
抗生物質は不必要に服用すると、腎臓などに臓器障害を起こし、抗生物質に耐性ができる菌の繁殖の原因ともなり、本当に必要な時に効果が無くなります。
Q.眠くなりにくい薬はありますか?
花粉症の症状、特に鼻汁を減らす目的で使われる抗ヒスタミン薬は鼻だけに作用するのではなく、脳にも働きかけます。
これにより眠気が引き起こされますので、自動車の運転を避けなければなりません。
眠気が少ないと言われている市販薬も計算能力の低下やミスタイプなど起こしやすくもなります。
市販されている鼻炎薬のほとんどにはこの副作用が出てきます。
処方薬では10年ほど前から、眠気の少ない抗ヒスタミン薬が使えるようになりました。
どの薬が良いかや飲み方は医師と相談してください。
Q.花粉症の症状を和らげる方法はありますか?
もちろん、治療で花粉症の症状を和らげることができます。
症状を和らげる方法には、短期的治療法と将来を見据えた長期的予防治療法があります。
ここでは治療法の種類と特徴をご紹介します。
点眼・点鼻薬
鼻はマスクで隠せても眼はなかなか花粉を防ぐことが難しいようです。
眼のかゆみ対策としては、症状の有無にかかわらず普段から抗アレルギー薬を含んだ点眼薬を用い、症状が酷いときにはステロイド含有の点眼薬を使用するのが良いでしょう。
ただし、ステロイド点眼薬はのちのちの眼の病気のきっかけとなり得ますので医師の指導の下で点眼してください。
点鼻薬も各種市販されていますが、処方薬で予防的にステロイド含有の点鼻薬を用いることをお勧めします。
点鼻ステロイドでは副作用を起こすことはほとんどないと言われていますが、予防薬なので鼻汁や鼻閉が強い時には間に合いません。
市販の点鼻薬には血管収縮薬を含んだものがあり、効果は良いのですが長期連用すると慢性肥厚性鼻炎になる可能性がありますので定期的使用は避けた方が良いでしょう。
抗ヒスタミン薬
一般的にはこれによる治療が多いと思います。
なぜなら花粉症は一時の症状ですので「臭いものには蓋」をしておくだけでよいと考える人には、もっとも簡便な治療の選択だからです。
近年、眠気を起こさせない薬も増えています。確かに古い抗ヒスタミン薬と比べ眠気は起きないのですが、ミスタイプが増えたり、計算力が低下したりと何らかの副作用を訴える患者様もいます。
また、同じ抗ヒスタミン薬を処方しても効果や副作用には個人差があるため、どの薬が良いかは医師と相談してください。
●漢方薬
長年に亘って花粉症で苦労している方には、徐々にでもよいから症状を軽くしていくという目的で漢方薬を中心とした治療を勧めています。
最大のメリトは ”絶対に眠くならない” 事だと思います。
ただ、漢方薬治療の場合には全ての花粉症はこれだけでよいというものはなく、個々それぞれの症状に合わせて処方しなければなりません。
年を追うごとに症状や治療期間そして治療薬数が減ってくるというので好評です。
多くの方は、漢方薬の効果は長期間服用しないとダメと思われているようですが、当院で一番評判の良い漢方薬治療では、鼻水なら5分も待たずとも止まる(抗ヒスタミン薬よりも早い)と言われるような処方も組み立てられます。
お勧めできない治療法
・減感作療法
アレルギーの原因物質を少しずつ体内に入れ、徐々に増やしていくことでそれに対する過敏な反応を減らしていこうという治療法で、治療には2年ほどがかかります。
注射による「皮下免疫療法」とアレルゲンが配合された治療薬を「舌の下」にしばらく含んでから飲み込んで、毎日少しずつ免疫をつくっていく「舌下減感作療法(ぜっかげんかんさりょうほう)」の二種類あります。
舌下減感作療法ですと簡単なので治療を継続しやすいのですが、治療中に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を引き起こす可能性がありますので、必ず専門の医師の指導のもとで治療しなくてはなりません。
私はアナフィラキシーを自宅で起こしたら一大事と考え、この治療は行っていません。
・ステロイド注射
かつて、花粉症の季節に一回だけ注射すれば良いと話題にになった治療法がありました。ステロイドの注射です。
確かに効果は抜群です。
しかし、ステロイドには副作用が問題となります。安易に注射を受けるべきではないと考えます。
副作用として上げられるのは高血圧症や糖尿病などが悪化したり、体のホルモンのバランスを崩し、特に女性では月経や妊娠に悪影響を及ぼします。
また、免疫力を抑制し細菌・ウイルス・真菌感染症にかかり易くなり、悪性腫瘍をお持ちの方には増悪させる可能性もあります。
これらのリスクを考え当院では実施しておりません。
当院では患者様一人一人の症状、状況に合わせお薬を処方いたしますので、花粉症でお悩みの方は是非一度ご来院ください。
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