暖かくなってきたと同時に小さな悪魔が鼻や眼を攻めに来ましたね
当院では花粉症の患者様方にも血液検査をすることが多く、また抗ヒスタミン薬だけで無く漢方薬も多用して治療しています。
理由を簡単に説明します。
花粉症の検査と治療
1. なぜ血液検査をするの?
花粉症の診断には、症状の聞き取りに加えて、血液検査が役立ちます。
特に、総IgE(アイジーイー)というアレルギー反応に関わる物質の量を調べることで、アレルギー体質かどうかや、他にどんなアレルギーを持っている可能性があるかを知ることができます。
2. 血液検査で何がわかるの?
主に以下の2つの項目を調べます。
2.1. 総IgE(アイジーイー)検査
体内のIgE抗体の総量を測定します。
アレルギー体質かどうか、また、他にアレルギーを持っている可能性があるかを知る手がかりになります。
ただし、総IgEが高いからといって必ずしも花粉症とは限りません。他の病気でも高くなることがあります。
また、総IgEが正常でも花粉症の可能性は否定できません。
2.2. 好酸球(こうさんきゅう)検査
好酸球というアレルギー反応に関わる白血球の数を測定します。
アレルギーによる炎症が起きているかどうか、その程度を知る手がかりになります。
3. 血液検査の結果について
血液検査の結果は、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断されます。
血液検査だけで花粉症かどうかを確定することはできませんが、花粉症の診断や治療方針の決定に役立ちます。
花粉症の治療法
1. 抗ヒスタミン薬
1.1. どんな薬?
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状を抑えます。
比較的早く効果が現れます。
1.2. 良い点
多くの花粉症治療で最初に使われる薬です。
花粉が飛び始める前から予防的に飲むことで、症状を軽くできます。
1.3. 注意点
眠気や口の渇きなどの副作用が出ることがあります。
眠気を感じなくとも、集中力や計算能力が落ちることがあります。
口の渇きが口臭の原因にもなり得ます。
根本的な治療ではなく、症状を抑えるだけです。
1.4. 使い方
通常、1日1~2回飲みます。
花粉の飛散時期に合わせて飲みます。
2. 漢方薬
2.1. どんな薬?
体のバランスを整えることで、花粉症の症状を和らげます。
病態(症状発症のメカニズム)別に適切な漢方処方があります。
適切な漢方薬と飲み方で、早く効果が出ることも多いです。
長期に亘って漢方薬治療をしていると年々治療期間が短くなることが多いです。
2.2. 良い点
病態に合わせて、薬を調整できます。
西洋薬に比べて副作用が少ないとされています。
眠くなることはありません。
西洋薬との併用も可能です。
2.3. 注意点
病態に合わないと、効果がなかったり、悪化したりすることがあります。
病名で漢方薬を選択することは好ましくありません。
特定の成分を含む漢方薬は、注意が必要です。
2.4. 使い方
症状や体質によって、飲む期間や効果の持続時間が異なります。
3. 舌下免疫療法
3.1. どんな治療?
スギ花粉症の根本的な免疫反応抑制を目指します。
長期的に花粉症を軽くできる可能性があります。
3.2. 良い点
治療ガイドラインでも推奨されています。
3.3. 注意点
効果が出るまでに数ヶ月から数年かかることがあります。
全ての人に効果があるわけではありません。
抗原抗体反応によって重度のアレルギー反応が起きる事があります。
大切なこと
病態によって、最適な治療法は異なります。
自分に合った治療法を見つけましょう。
薬には副作用のリスクがあることを理解しておきましょう。