最近、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が再び流行しています。数年前に比べると症状が軽い方が多いという事実はありますが、通常の風邪とは異なります。
感染症の患者が来院された際、いきなり鼻腔にスワブを挿入することはなく、まず血液検査を行います。約5分で結果が出るため、ウイルス感染症か細菌感染症かを見極めて、適切な処方を行います。最近、血液検査結果に違和感を感じることが増えてきました。そこでコロナ・インフルエンザ抗原検査を実施すると、コロナウイルス抗原陽性のケースが多いことに気付きました。
その違和感の内容は、ウイルス感染症にしては白血球の減少が軽微で、リンパ球数が少ない一方で、単球数が多いという点でした。そこで、2023年以降にコロナ感染症と診断された血液データと、コロナ以外の感染症のデータを比較検討しました。
調査期間:
2023年1月1日から2024年9月30日まで
対象:
- 非コロナ感染症群:2347件
- コロナ抗原陽性群:87件
白血球数、リンパ球数、好中球数、単球数、およびCRP値について比較しました。
結果概要
指標 | コロナ抗原陽性群(87件) | 非コロナ感染症群(2347件) | |
---|---|---|---|
白血球数 | 5252.9 | < | 6213.2 |
リンパ球数 | 1309.5 | < | 1862.0 |
好中球数 | 3356.9 | < | 3753.0 |
単球数 | 479.1 | > | 348.2 |
CRP | 1.4 | > | 0.4*(1320件) |
結論
感染症患者に対して血液検査(血算)を実施した際、白血球数の減少、リンパ球数の減少、または単球数の増加が認められた場合、コロナウイルス抗原検査を実施することは妥当であると考えられます。
永井 一成
安田 聡子 看護師