コロナワクチン接種後の患者様よりよく頂くご質問をまとめました。
目次
【Q】ワクチンによって抗体は確実にできるのでしょうか？
確実ではありません。最近の国内の調査では95%以上２回のワクチン接種後２週間ほどで抗体ができているとなっています。
【Q】ワクチン接種後でも新型コロナウイルスに感染する可能性はありますか？
可能性は十分にあります。どの会社のコロナワクチンでも、最も高い発症予防効果が得られるのは、2回目を接種してから7日以上経ってからです。たとえ抗体ができても100%の発症予防効果が得られるわけではありません。ワクチンを接種しても抗体ができなかった場合や、体力・免疫が低下した状態では感染・発病の危険性はあります。
よって自身の体にコロナの抗体がきちんとできているのかを調べるためにコロナワクチン抗体検査を推奨しています
【Q】抗体持続期間はどれくらいでしょうか
現段階で断定的なことは言えませんが、３−６か月は有効とされています。
【Q】検査結果の数値の目安はありますか？
【A】検査会社が用いる試薬に違いがあるため、抗体価の判定には各々の検査会社の基準値を参考にします。実際、異なった会社の標準的な抗体価には一桁以上の違いがあります。
クリニックにより検査会社が異なるため検査を受けたクリニックに医師から十分に説明を受けましょう。
【Q】コロナワクチンの目的はなんでしょうか？
ワクチンには、
▼感染そのものを防ぐ「感染予防の効果」
▼感染しても症状が出るのを抑える「発症予防の効果」
▼症状が出ても重症にならないようにする「重症化予防の効果」
▼多くの人がウイルスへの抗体を持つことで社会全体が守られる「集団免疫の効果」
上記が目的とされています。
ワクチンがウイルス自体を殺すのではなく、人間の細胞に侵入してくるのを阻止する役割をします。
ちなみに、机の上やドアノブなど生物でないものの場所では増殖することはなく消失を待つだけとなります。
重要なのはウイルスを避けることではなく、細胞の中に侵入できないようにブロックすればウイルスは体内で増殖することが出来ません。
ワクチンは、ヒトに免疫を獲得させ、ウイルスや細菌を抑制しようとするものです。
なのでワクチン接種をした時点の体力が衰えていたりすると十分な免疫がつかず、仮に免疫ができても、いざウイルスや細菌に触れた場合に過労・体力低下など免疫を発揮できない状態あればワクチンの効果は不十分になってしまいます。
【Q】コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの違いは？
インフルエンザワクチンもコロナワクチンもウイルスが細胞へ侵入（感染）するメカニズムを阻止するのが目的です。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン（HA：インフルエンザウイルスの表面に存在する糖蛋白の一つで細胞に感染するのに必要な蛋白）に対する抗体を誘導します。生体内で産生された抗体がHAにくっついてしまえば、インフルエンザウイルスはヒト細胞に感染できなくなります。
新型コロナワクチンは、人類に初めて臨床応用されたmRNAワクチンです。
これはウイルス蛋白質そのものではなく、コロナウイルス表面のスパイク蛋白を組み立てる設計図（mRNA）を体内に届けてヒトの細胞内でスパイク蛋白（非病原性）を作らせます。
生体はこのスパイク蛋白への抗体を産生します。
スパイク蛋白とヒト細胞の結合部位は鍵と鍵穴のようなもので、抗体が鍵を変形してしまえばウイルスは細胞内に感染できなくなります。
mRNAワクチンの利点としては、他のワクチンに比べ短期間で作成することが出来ることと、感染性がなく細胞成分等の混入もないことです。
【Q】コロナにかかった後の検査とコロナワクチン抗体検査に違いはありますか？
コロナウイルスに感染した場合
⇛N蛋白抗体（IgG）検査
N蛋白質（ヌクレオカプシド蛋白質）とは、コロナウイルスの遺伝子を包む蛋白質を指します。N蛋白質は突然変異などによるアミノ酸配列の変化が起こりにくく、また蛋白質自体が大きく判別しやすい構造のため、多くのコロナウイルス抗原検査ではこのN蛋白質を検出するように設計されています。
N蛋白質抗体の存在は、コロナウイルス感染の足跡があること示しています。不顕性感染（感染はしても無症状）も含め、コロナウイルスに感染した既往を確認するものであって、ワクチンの効果判定には役立ちません。
コロナワクチン接種後の場合
⇛S蛋白抗体(IgG)検査
ワクチン接種後の抗体検査ではS（スパイク）蛋白質に対するIgG抗体が増加します（陽性となります）。ただし検出可能になるのは２回目の接種後２週間以降です。ワクチン接種をしてもN蛋白質に対するIgG抗体は変化しません（陽性となりません）のでワクチンの効果を推測するにはS蛋白抗体を測定せねばなりません。せっかくワクチン接種を受けたなら、十分な免疫力を獲得できたかウイルス抗体価を検査することは真に意味のあることです。
まとめと注意点
ワクチンを接種したからといって油断してはいけません。抗体ができていないこともあります。
またワクチン接種によって抗体ができたかを調べる場合、S蛋白抗体(IgG)検査を受けてください。２回目のコロナワクチン接種2週後以降のS蛋白抗体検査を受けることをお勧めします。
過去にコロナウイルスに感染したかどうかを調べたい場合には、N蛋白抗体（IgG）検査を実施すれば、ワクチン接種に関わらず過去の感染の有無を確認することができます。
当院ではS蛋白抗体(IgG)検査もN蛋白抗体（IgG）検査も実施しております。どちらも血液検査で検査可能ですので、毎月の検査の同時にお調べすることも可能です。もちろん抗体検査のみも受け付けておりますので、お気軽にご来院ください。
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